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皮膚科診療

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近年のペット医療の向上に伴い、獣医皮膚科医療も日々進歩していると言えます。検査が多様化したことにより、皮膚病の原因は一つのみならず、アレルギーなど複雑な要因が関わっている場合が多いことがわかってきました。

当院では犬種、猫種それぞれの皮膚の特徴を理解した上で、視診および適切な検査を行い、治療方針を決めていくようにしています。またペット達やご家族様への負担を考えながら、皆様に満足できる治療を提供するように心がけています。

日本獣医皮膚科学会認定医である杉山を中心に診療を行っております。

ここでは犬と猫のアトピー性皮膚炎の診療について紹介させていただきます。

ワンちゃんの場合

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痒みを主訴に来院されるケースが非常に多いです。痒みの原因として、まずノミやニキビダニなどの寄生虫症、ブドウ球菌やマラセチアなどの感染症の可能性を検討します。これらの可能性が否定された場合、アレルギー性疾患の可能性が高くなります。

アレルギーには食物アレルギーとアトピー性皮膚炎がありますが、併発していることも多いです。これらの鑑別の参考としてアレルギー検査を実施することもあります。食物アレルギーは原因食物がわかればそれを回避することができる一方で、アトピー性皮膚炎の原因はハウスダストや花粉であるので回避するのが難しいです。つまりアトピー性皮膚炎と診断された場合には、治療目標は完治ではなくうまく管理していくということになります。幸いにも犬アトピー性皮膚炎の治療は医療と比べてもむしろ勝るくらいであり、多くの治療選択肢があります。しかし100%効く薬はないためにお薬による治療を主体に、シャンプー、保湿などのスキンケアを併用することが重要です。当院でよく使用する薬について簡単にご紹介いたします。

アポキル
オクラシチニブという成分の薬で2016年に犬で認可された飲み薬です。
JAK阻害剤に分類され、人では別の種類のJAK阻害剤がリウマチの治療薬として使用されていますが、アトピー性皮膚炎のJAK阻害剤はいまだに存在しなく、獣医療の方が先に実用化されているという珍しいケースの薬です。
有効率は7割、即効性があり副作用は少ないです。
ステロイド
飲み薬だけでなく塗り薬や点耳薬にも配合されていることが多いです。
飲み薬の場合有効率、即効性はアポキルと同等です。アポキルが効かない重症例でも効果があることがあります。しかしながら副作用に注意しなければいけないお薬で、副作用を理解していただき処方しています。副作用には個体差も多いですが、正しく使い方をすれば安全に使える薬であり、多くの症例に使用しています。
シクロスポリン
免疫抑制剤に分類され、犬アトピー性皮膚炎の治療薬としては2005年から使用されている飲み薬です。有効率はアポキル、ステロイドと同等ですが、特にアポキルでは効果が弱くステロイドでは効果のある重度の症例にステロイドとの組み合わせで用いることが多いです。即効性は劣りますが、ステロイドと組み合わせることで即効性も得られます。またステロイドを減薬する目的でも使用します。ステロイドと比べて副作用は少ないですが、副作用を理解していただいたうえで処方しております。
サイトポイント
抗体医薬のひとつであるロキベトマブという成分の薬です。抗体医薬は作用する場所がピンポイントなので副作用がほぼない薬であると言えます。2019年12月に犬で認可された注射薬で、1か月に1度接種します。アポキルと同じく、現在医療には同じ薬はなく、人用の薬が開発されている最中です。即効性、有効性にもすぐれますが、ターゲットが炎症というよりは痒みであるので理論上は重症例ではサイトポイントだけでは治療は難しそうです。しかしまだまだ新しい薬で、安全性の面から様々な場面で使用できる薬であると思いますので、興味がある方はぜひお声掛けください。数頭治療しましたが、これまでのところ満足できる効果が得られています。
インタードッグ
2005年に犬で認可されたインターフェロンγ製剤の注射薬です。
サイトポイントと比べて注射の頻度が多くなり、即効性はありません。しかし副作用は少なく、細菌感染症を併発しやすいアトピー症例に使用することが多く現在でも多くの症例に使用しております。
漢方薬
飼い主様のご希望があれば神田先生の診療を受けていただき漢方薬の処方ができます。
漢方薬と組み合わせることで、相乗効果が得られる場合、もしくはステロイドなどの薬を減らせることが期待できます。

ネコちゃんの場合

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まず猫ちゃんの場合、アトピーに相当する疾患はあるのですが、実はアトピーの病態はわかっていません。痒みがある場合、ワンちゃんと同様に感染症の可能性を検討します。猫ちゃんでは特にノミや皮膚糸状菌症というカビのトラブルに注意が必要です。感染症が否定されたらアレルギーの可能性を考え、食事によるアレルギーの可能性が否定された場合、アトピーに相当すると考えます。この1年でアレルギー検査も導入していますが、アレルギー検査は補助的な位置づけです。

症状は全身に現れますが頭頚部の痒みの場合、出血してしまうほど引っ掻いてしまう例も少なくありません。また特有のザラザラした舌で舐めることにより容易に脱毛を引き起こしてしまうため、あっという間に重症化する印象があります。治療に関してはワンちゃんと比較してスキンケアを組み合わせることは難しく、お薬の選択肢も多くありません。当院では現在のところステロイド、シクロスポリン、抗ヒスタミン剤での治療が中心となっております。